好きなものは最後にする僕は3を選んだ。
場に静寂が訪れる。
僕がその空気をどうにかしようと考えていると真白ちゃんが立ち上がりながら言った。
「では、支倉さん。帰りましょうか。」
「…………」
志乃ちゃんはしばらくの間納得が出来ないようにそこに佇んでいたが、
やがて意を決したように立ち上がると真白ちゃんと一緒に去っていった。
そして、その場には僕と先輩が残された。
「さて、それじゃあやめますか?」
僕は先輩にそう持ちかける。
ここに至ってもイマイチ彼女たちの意図が読めない僕だけど、
二人きりになってまで賑やかしのゲームを続けてしまう理由はない。
だが、それに対する先輩の言葉は意外なものだった。
「やめんといて…」
僕はその言葉に心底驚いたけど、別段拒絶する理由もなかったので続けることにする。
やがて、物語は佳境を迎え、ヒロインの告白シーンへと移る。
そしてポツリポツリと先輩が言葉を紡ぎ始めた。
「あんな…ああ、モニタ見たままでいいから…話だけ聞いてや…。」
振り返ろうとした僕を先輩が制す。
声音がいつになく真面目だったので僕は心配になったのだけど、
先輩がそういうならきっと大丈夫なはずだ。
僕はモニタに向き直る。モニタの上ではCGと文字が目まぐるしく踊っていたけど、
もうそれはただの情報でしかなくなっていた。
「うちな、自分は恋愛なんて出来ないと思ってたんよ…。」
僕は画面を見てるフリをしながら先輩の言葉に耳を澄ませる。
「だけどな、自分でもよく分からんけど、なんか一緒にいて楽しい男の子が現れたんや…。」
僕はその言葉を意外に思っていた。
いや、失礼だけど僕も先輩には恋愛なんて似合わないと無自覚のうちに思っていたのかもしれない。
先輩は確かに化粧っ気こそないけど、可愛い部類だと思う。
だから彼氏を作らないのは先輩が興味がないからだと思っていた。
「でもな、その男の子には既に大事な女の子がいたんや…なあ、どうしたらええんやろな。」
そう言って先輩が僕の背中から腕をまわす。
ここに至って僕は先輩の言っている相手が誰なのかようやく分かった。
でも、それを簡単に認められるほど自信家でもない。だから馬鹿な発言をしてしまう。
「先輩、その相手って…?」
「…言わせんといて。」
先輩の目にはいつもの悪戯っ子はどこにもいなかった。
代わりにそこにいたの強烈な女で…くらくらした。
僕が逡巡している間に先輩は僕に口づけていた。や
がて、唇をそっと離すと僕の目を見据えて言う。
「一晩だけでもええ…うちの…男になり…?」
先輩は僕を押し倒すとゆっくりと上着を脱ぎ始める。
そして僕の目は先輩の肌に釘付けになった。
確かに、志乃ちゃんや真白ちゃん、彼女たちに比べれば
それほど綺麗な肌とは言えないかもしれない。
だけど、活動的な彼女の肌はそれとは違う種類の瑞々しさに溢れていたし、
それと同時に普段の先輩からは想像がつかないほどに女だった。
気がつくと僕は先輩のブラに手を伸ばしていた。それを先輩が優しく手で制す。
「最初は私にさせてな…年上…やから…。」
先輩はそう言って顔を伏せてしまう。
今日だけでこの人の可愛いところを何回見たのだろう。
そして何故今まで気がつくことが出来なかったのだろう。僕は己の不明を恥じた。
先輩の手がゆっくりと僕の上着にかかり、脱がせていく。
そして愛撫が始まるのだけど、なんともじれったい。
ポイントは押さえているのだけど、
それは気持ちいいというよりはくすぐったいという感じだった。
「先輩…慣れてないの?」
「気持ちよくなかったか…?その…経験がないんや…。」
そう言った先輩の瞳は潤んでいた。
僕はそれを確認すると、ゆっくりと先輩と体を入れ替える。
この魅力的な先輩に感じて欲しかったから。
「先輩、僕がしてあげるね。」
先輩は顔を真っ赤にすると、こくんと頷く。
そして僕は先輩に愛撫を開始する。
まずブラを外すと自己主張を始めていた突起を口に含む。
開いた手でもう片方をクリクリとこねくりまわすことも忘れない。
それだけでも先輩の息は荒くなり、腰が跳ね上がる。
先輩にはこれだけでも刺激が強すぎるのかもしれない。
そう判断して僕は手をゆっくりと先輩の下半身へと滑らせていく。
ショーツを脱がせて彼女の秘所へと手を進入させると、
そこはまだうっすらと湿り気を帯びているだけだった。
「先輩、気持ちよくないかな?」
先輩は既に息も絶え絶えだ。だから気持ちよくないということはないと思うのだけど。
先輩が顔を手で覆いながら言う。
「うち、緊張してもうて…さっきから心臓おかしなことになっとるし…」
緊張か…。単純だけど大きな問題だ。
それが原因で初めてがうまくいかないというのはよくある話だし、
僕は先輩の初めてをそんな失敗で終わらせたくない。
僕は胸への愛撫を中断すると、先輩の秘所へとゆっくりと顔を近づけていく。
「先輩、先輩のここは嫌がってなんていないみたいだよ?」
「いや…そんなとこ汚い…」
先輩が僕の顔を押しとどめるのをゆっくりと制すると顔を近づけていく。
そして舌を尖らせるとその割れ目をゆっくりとなぞった。
「ひゃ…」
それだけで、先輩の愛駅がじわりと溢れだしてきたのを感じる。
でもまだ足りない。僕は先輩の割れ目を指で押し開くと舌を挿入する。
先輩の膣中は既に熱を持っていて火傷しそうなくらいだった。
指で先輩の感じてくれるところを探しながら、
もう片方の手で先輩の花びらを剥いてそこから現れた秘芯を刺激する。
「くっ…はっ…」
先輩はどうやらクリトリスが弱いらしい。
そこを重点的に攻めると嬌声が聞こえ始めたが、それでもやはり濡れ方が足りない。
僕はさらに攻め方を一段階進めることにした。
指による秘所への愛撫はそのままに先輩の耳へ顔を近づけ、囁く。
「先輩、今凄く可愛い。」
「嘘や、うち可愛くなんてない…。」
「僕は嘘なんてついてないよ。だから顔を見せて。」
先輩の顔を覆っていた手をどけると先輩と目が合う。先輩はほとんど泣き出しそうだった。
だから僕は先輩を安心させるために、優しい声音を作って言う。
「先輩、僕は先輩に気持ちよくなって欲しいんだ。どうして欲しいかな。」
先輩は黙り込んでいたがやがて僕の目を見据えてゆっくりと口を開いた。
「あんな…はっ…嘘でもええから、好きって言って欲しい…あと、名前を…くぅ…」
僕は先輩の望みに応える。
「キララせんぱ」
先輩が人差し指を立てて僕の言葉を止める。
「先輩はなしや…あと、男らしく、な?」
僕は先輩の言葉を僕なりに解釈したあと、彼女の目を見据えて言う。
「キララ、好きだ。」
その言葉を聞いた途端に彼女の身体が揺れ、彼女の膣から愛液が溢れだした。
「キララ、本当にいいんだね。」
僕は彼女の脚を抱え上げながら最後の確認を取る。
「あんたは意外に意地悪なんやな。」
先輩がニヤリと悪戯小僧の顔で笑う。
この頃になると先輩はいつもの調子を取り戻し始めていた。
しおらしい先輩もよかったけど、やっぱりこれが鴻池キララだと思う。
僕はその言葉を肯定と解釈し…思い切り突き刺した。
「ぐぅ…。」
先輩の秘所がわななき、そこから純血を失った証が一筋大腿をつたっていく。
僕は先輩の安否を気遣う言葉をかけることはしなかった。
それは態度で示すものだと思ったし、
何より鴻池キララという人物の誇りを傷つけてしまうことになると思ったから。
僕はゆっくりと腰の動きを早めていく。
それと共にただ激しいだけだった先輩の呼吸が段々と快楽の色に染まっていく。
「はん…はぁ…手加減…いらんで。」
先輩が涙目になりながら言う。
それは明らかな嘘だったけど、僕は騙された振りをして腰の動きを早め、彼女に口づけた。
舌が入ってくるのを拒む様に閉じた歯は歯茎を時間をかけて撫でてやるとゆっくりと開いていった。
脅えたように無反応だった彼女の舌も面積を広げて撫であわせ、
舌先でつついてやるうちにゆっくりとこちらに絡むのを許容し始める。
自分の、彼女の息が荒くなっていくのを感じた。
それと共に彼女の膣中が蠢きだし、キュウキュウと締め付け始める。
彼女は僕の胸を腕でそっと押して、唇を離すと一言
「好きやで。」
と言った。自分で言って恥ずかしくなったのか、彼女の膣中の締め付けが一層激しくなる。
「キララ、僕、もう…!」
僕は彼女の膣中からものを抜こうとした。さすがに膣中で出すのはまずい。
だけど、彼女はそれを許さなかった。僕の腰に脚をしっかり巻き付けると腰を激しく打ち付け出す。
それはぎこちないものだったけど、既に限界を迎えようとしていた僕には耐える術はなかった。
「キララ!?」
「責任…くう…とってな?」
そこにはただの女でも、悪戯小僧でもない初めて見る鴻池キララがいた。
ことを終えた後、僕らはしばらく無言だった。
今はお互い背中合わせで座っている。
気まずさに耐えられなくなって、話しかけようとする僕の前に先輩が僕に話しかけた。
「あんな、今日安全日やから…」
「へ…?」
僕は間抜けな声を出してしまった。
正直な話、先輩とそういうことをしてしまったというだけで頭が一杯だったのだ。
もちろん、出来てしまったら責任を取らなくてはならないけど
僕はまだ一介の大学生で責任を果たせるようには思えなかった。
僕がなんて言っていいか分からなくなっていると先輩が言葉を続けた。
「あんたのそういうところ好きやで。
そやなー、責任を感じてるんならお願いを聞いてくれんか?」
先輩のお願いは、含みなく僕と一緒に寝ることだった。
先輩は僕の腕を抱きかかえると眠ってしまったが、僕はさっぱり眠れなかった。
一度、女として意識してしまった女性と一緒に眠ることなんて無理だと思う。
ゲームは先輩に没収された。
次の日、先輩が僕と同じように目の下に隈を作りながらゲームをプレイして
勉強していたなんていうことは僕の知るところではないし。
いつか違うところで語られる話だろう。